妊娠中におたふく風邪の予防接種はOK? NG?

妊娠中におたふく風邪の予防接種はOK? NG?
2018.01.17 妊娠中 予防接種

監修:福島県立医科大学 小児科学講座 教授 細矢 光亮 先生

妊娠中は体の免疫が下がるため、通常よりも感染症にかかりやすくなります。例えば、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)に予防接種をしていない妊婦さんがもしもかかってしまったら大変です。けれども、心配だからといって妊娠中に予防接種を受けられるのでしょうか? 注意事項をまとめました。

この記事のポイント

  • おたふく風邪は効果的な治療薬がなく、ワクチンで発症を予防することが重要
  • 日本で接種可能なおたふく風邪のワクチンは生ワクチンなので、妊娠中は接種できない
  • 妊娠中、家族などの身近な人がおたふく風邪にかかってしまったら、なるべく接触を避け、かからないように注意を

おたふく風邪はワクチンがほぼ唯一の予防手段

おたふく風邪は、正式名称を流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)といいますが、ムンプスという英名で呼ばれることもあります。ムンプスウイルスへの感染により、耳の下~あごのあたりにある耳下腺が腫れ、発熱するのが主な症状です。重症化すると、さまざまな合併症を引き起こすこともあります。耳下腺の腫れるさまが、頬の膨れたおたふく(おかめ)の顔に似ていることから、日本ではおたふく風邪と呼ばれています。

厄介なことに、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスには、現在のところ有効な治療法がありません。そのため、おたふく風邪にかかってしまった場合は、症状や重症度合いに応じて解熱鎮痛剤を服用したり、点滴を受けたりしながら、症状がおさまるのを待つしかないのです。

しかも、おたふく風邪は年齢が高くなるほど感染しやすくなり、症状も重症化する傾向にあります。したがって、おたふく風邪に関しては予防がなにより大切であり、その唯一の予防方法といえるのがワクチンの接種です。残念ながら2017年10月時点、日本でのムンプスワクチンは定期接種ではなく、任意接種になりますが、任意であっても接種して、おたふく風邪にかからないようにしておく必要があるといえます。

妊婦さんはおたふく風邪のワクチンを接種できない

妊娠中は体の免疫が下がるため、おたふく風邪の免疫(抗体)を持たない妊婦さんがムンプスウイルスに接触すると、ほぼ間違いなく発症します。おたふく風邪は高熱を伴うことが多く、胎児の健康にも影響を与えるおそれがあり、危険です。それならば、かかる前にワクチンを打って予防しておこうと思うかもしれませんが…残念ながら妊婦さんにおたふく風邪の予防接種を行うことはできません。おたふく風邪のワクチンは、生物学的操作でウイルスの毒性を弱めてつくった生ワクチンです。生ワクチンを妊婦さんに接種することはできません。おたふく風邪の予防接種をしたければ、妊娠前に行うしかないのです。

妊娠中、もしも家族がおたふく風邪に感染したら

ムンプスワクチンを接種しておらず、抗体を持っていないにも関わらず、妊娠中にもしも家族などの身近な人がおたふく風邪に感染してしまったら、お互いにマスクをするほか、なるべく接触を避けるなどして、できるだけ感染を防ぎましょう。残念ながらそれ以外に有効な手段はありません。

なお、おたふく風邪の予防接種をしていても、中には抗体ができないケースもあります(10%~25%)。妊娠初期に行う抗体検査で、ムンプスウイルスへの抗体があるかどうかを確認し、もしもなかった場合はできる限り感染者に近づかないよう、気をつけてください。

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