新生児が気をつけておきたい感染症とは?

新生児が気をつけておきたい感染症とは?
2017.04.10 子どもの病気

監修:福島県立医科大学 小児科学講座 教授 細矢 光亮 先生

生まれたばかりの赤ちゃん=新生児も感染症にかかることがあります。新生児は、免疫力が非常に弱く、無防備な状態のため、感染症にかかることは非常に危険です。新生児の感染症にはどのようなものがあり、その原因にはどんなものがあるのでしょうか。

この記事のポイント

  • 新生児の感染症は、母子感染がきっかけになることが多い
  • 早産で生まれた子どもほど、感染症にかかりやすい傾向がある
  • 感染症にかかった場合、大人と同様に抗生物質などを投与して治療を行う

新生児感染症の最も多い原因は母子感染(垂直感染)

生まれたばかりの赤ちゃん、すなわち新生児が感染症にかかってしまうこともあります。大人の感染症は飛沫感染や接触感染などが多いですが、新生児の感染症は主に母子感染=母から子への感染によって起こります。「垂直感染」と呼ばれることもある母子感染には、以下のようなタイプがあります。

感染経路 詳細 主な感染症
子宮内感染
(経胎盤感染)
病原体が胎盤を通じて赤ちゃんの体に侵入することで起こる トキソプラズマ、梅毒、風疹など
産道感染
(分娩時感染)
分娩時、赤ちゃんが産道を通る際に病原体に感染することで起こる B群連鎖球菌、ヘルペス、クラミジア、HBV、HSV、HIVなど
母乳感染 産後、母乳を通じて赤ちゃんが病原体に感染することで起こる HTLV-1、サイトメガロウイルスなど

そのほか、結核のように産後の接触で感染するケースや、新生児室に移動した際に感染する(院内感染)こともあります。

早産の場合、感染症のリスクが高まることも

新生児が感染症にかかるリスクは、ママのお腹の中にいる期間が短いほど高まるというデータがあります。つまり、早産で生まれた赤ちゃんほど、母体からもらう免疫(抗体)が少なく、自身の免疫が未熟なため、感染症にかかりやすいということ。妊婦さんは正期産(妊娠37週~41週)に入るまで妊娠を維持できるよう、体調管理に努めましょう。

新生児感染症の治療法は

万が一、新生児が感染症にかかってしまった場合は大人と同じく、抗生物質などを投与して体内の病原体を死滅させる治療を行います。ただし、投与する薬の量や投与の回数には十分な注意が必要です。医師の判断の下、使用しましょう。

新生児感染症の原因となる身近な病原体

さまざまな感染症がありますが、比較的身近なものを以下にまとめました。いずれも赤ちゃんが感染すると流産、死産に至るおそれがあるほか、障がいが残ることもあります。

  • B群連鎖球菌
    ヒトの体に常在する菌の一種で、女性の膣や肛門の周辺に確認されることが多いです。非妊娠時であれば問題ないのですが、出産の際、産道を介して赤ちゃんに感染するおそれがあります。妊娠健診で検査を行い、感染している場合は服薬を行います。妊娠後期になっても感染が認められる場合は経膣分娩(いわゆる自然分娩)ではなく、帝王切開での出産に切り替え、母子感染を防ぐこともあります。
  • ヘルペス
    母体が性器ヘルペスに感染していると、産道感染を起こすことがあります。発症してから一定期間が経過していれば感染のおそれはほとんどなくなりますが、場合によっては大事をとって、帝王切開での出産になることもあります。
  • クラミジア
    膣内で炎症を起こすクラミジアは女性の場合、自覚症状が出にくいため、感染に気づかないことが少なくありません。クラミジアに感染したまま出産すると、産道感染を起こすことがあります。こちらも妊婦健診の検査対象です。
  • トキソプラズマ
    ネコ科の動物のフンや牛、豚、羊などの家畜の肉に含まれる微生物で、感染した肉を生で食した場合や、ペットのネコのトイレを片付けるときなどに感染することがあります。健康な成人であれば感染しても特に問題はありませんが(実際に感染している人も多いです)、妊婦さんが妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通じて母子感染を起こすおそれがあります。
トキソプラズマ

大切な赤ちゃんのためにも、予防できるものについては感染予防を心掛けましょう。

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